この痛みを抱いて生きる
ヨジンとチェヨンは親友同士。2人でヨーロッパ旅行へ出るために、チェヨンが援助交際をし、ヨジンはそれを嫌いながらも、見張り役をしている。ある日、警察に踏み込まれたチェヨンは、いつもの笑顔を浮かべたまま、窓から飛び降りて死んでしまう。ヨジンは、そんなチェヨンの罪滅ぼしのために、相手の男たちにお金を返しはじめる。しかし、ヨジンの行動に気付いた父、ヨンギは、やり場の無い怒りから、男たちへ制裁を加えはじめた。
本作は、センセーショナルな題材を描き異端監督と呼ばれたキム・ギドク監督が、人生の痛みを、悲しくも美しく描いた作品。物語は三部構成で、第一部では、夢のために身体を売るチェヨンと、見張り役のヨジンの複雑な思いを描く。第二部は、死んだチェヨンの罪を贖おうとするヨジンと、その父親の物語。そして第三部は、罪を犯した父親の決意を描いている。援助交際という社会の闇を取り上げながら、少女たちの夢と憧れや、子を思う父親の愛と苦悩を鮮烈に映し出していく。
タイトルの「サマリア」は、聖書に登場するサマリア人から来ている。ユダヤ人と対立し蔑まれたサマリア人だが、聖書の中ではしばしば、信仰心の厚い「良き人」として表され、キリスト教徒であるギドク監督の世界観が現れた題名といえるだろう。罪を背負った人間たちの中に見出す光を、優しく描き出した秀作でありる。「春夏秋冬そして春」も非常に良い作品でした。  本作品もギドク監督の深い才能を感じる作品。
2004 第54回 ベルリン国際映画祭/最優秀監督賞(銀熊賞)
上映時間:11:00〜 13:00〜 15:00〜 17:00〜 19:00〜
監督・脚本 キム・ギドク
出 演 イ・オル,クァク・チミン,ソ・ミンジョン,クォン・ヒョンミン,オ・ヨン,イム・ギュノ,チョン・ユンソ
製作総指揮 キム・ドンジュ,キム・ユンホ
撮 影 ソン・サンジェ
音 楽 パク・ジウン
2004/韓国/95分(R-15指定作品)